ホストの前職としてよく名前が挙がる「美容師」「アパレル」「とび職」を、ホストと比較して紹介します。
拘束時間比較
美容師
実質15時間
通常業務を終えた後に待っているのは、過酷なサービス残業。
特にアシスタントの場合は、勤務終了後にお店に残りカットの練習などをして腕を磨かなくてはならないため、1日で長い時には15時間ほど拘束される。
とび職
8時間
元請けが大手であるほど厳しく労働時間が管理され、キッチリ8時間までしか働けないところが多く、残業があっても日が出ている時間までというのが一般的なため、拘束時間は短い。
但し、就業開始時間の1時間前(朝7時頃)には現場入りしなくてはいけない。
アパレル
8時間+残業
セールの準備や棚卸などの繁忙期に残業が増えることが多い。
営業時間の前後には、店の掃除や片付け、品出し、などを行うが、常識的な拘束時間と言えるだろう。しかし、年中無休の店舗が大半なので、月ごとに休みの曜日がバラバラという悩みがある。
ホスト
6〜8時間
勤務時間はお店によって様々だが、基本的には6〜8時間内に収まる。売れっ子ホストになると、同伴やアフターなど勤務時間外での仕事も増えるが、遊びの延長に近い業務のためそれほど苦にはならないだろう。また、シフト制のために、比較的休みが取りやすいというメリットもある。
解説
就業時間は原則として「1日8時間まで(特例を除く)」と法律で定められているが、残業は大体どの職業にもある。
「拘束時間の短さ」はそれだけ自由な時間が増えるため、プライベートを充実させることが可能となり、「業務内容」「給与」と同じく、仕事を選ぶ上で重要な要素と言えるはずだ。
今回比較した4業種の中で最も長い拘束時間を誇った職業は美容師。華のある職業だと思われがちだが、長時間労働が常態化しており、雇用環境は決して良いとは言えない。
残業はあるものの、常識的な範囲内で拘束されるアパレル店員は、休みの日程が他人と合わないという、せっかくの休日を無駄にしかねない部分が大きなマイナス要素だ。
とびとホストは、残業することが少ない業種だが、朝の早いとびに比べ、同伴やアフターなどで出勤時間が変わるホストはフレックスタイム制に近いより自由な職業と言える。
必要スキル比較
美容師
・美容師国家資格
・手先の器用さ
・接客スキル
・コミュニケーション能力
養成学校に2〜3年必ず通い、国家資格を取得しなければならない。手先の器用さ、接客スキルは当然ながら、お客の希望を汲み取る“コミュニケーション能力”もかなり求められるため、一人前になるまでにかなり時間がかかる。
とび職
・国家資格
・国家免許
・高所に対する耐性
・判断力
講習を受けるだけの簡単な国家資格から高度な作業に就くことができる国家免許まで様々。高所に対する恐怖心の無さやバランス感覚、冷静な判断力など、危険と隣り合わせの職業だけに求められるスキルは非常に多い。
アパレル
・明るさ
・コミュニケーション能力
・ファッションセンス
・体力
接客業だけに元気のよさやコミュニケーション能力、自身のファッションセンスが問われるが、特別な資格は必要無い。但し、1日の殆どが立ち仕事のため、意外にもかなりの体力が求められる職業だ。
ホスト
・礼儀
・接客スキル
礼儀が特に必要となる。逆を言うと、これ以外に必要なスキルは殆ど無い。容姿のカッコよさや話術など、あるに越したことはないスキルも存在するが、お客に対する礼儀(テーブルマナー)を身につけさえすれば、誰でもなれる比較的敷居の低い職業だ。
解説
仕事をすぐに始めたい時に、気になるのが「必要スキル」。
専門性高い職業であればあるほど、資格や免許が必要となり、持っていなければ当然その職に就く事は不可能である。
今回比較した4業種の中で、美容師は国家資格の他に養成学校卒業が必須になるので、すぐになれる職業ではない。
とびにも資格・免許はあるが、後により高度な作業をする際に必要となるため、無くても問題ではない。それ以上に、身体能力の高さや、冷静な判断力、図面を見ただけで把握する想像力など、求められるスキルが非常に多い印象だ。
アパレル店員とホストは、特別な資格が必要ない。そのため、どちらの職業も比較的なりやすいという特徴がある。両業種とも接客業なので非常に多くの共通点はあるが、テーブルマナーさえ身につければ誰でも接客できるという点において、ホストの方が求められるスキルが少ない。
新人月収比較
美容師
約10〜17万円
“アシスタント”という形で働きだす。都心の超有名店の初任給が手取りで10万円前後、地方では17万円前後と、他の業種と比べてもかなり低額だと言える。アシスタント時代は“先輩美容師のアシスタント”という立場のため、雑用が多く、指名料などの歩合給は雀の涙程度。
とび職
約23万円
“見習い”という形で働きだす。勤め先によって給料はまちまちだが、日当で1万円以上が支給され、月収でも手取りで23万円近くもらえるため高収入の仕事と言える。ただし、ボーナスが支給されることは無く、更に、かなりの危険度や専門性が高い業務内容なので、ハイリスク・ハイリターンな職業。
アパレル
約20万円
アルバイトの場合は、首都圏でも900円程度と厳しいが、正社員だと月収は手取りで20万円、さらに売り上げ成績に応じて特別ボーナスが支給されるなど、かなり魅力的な業種。しかし、勤続し、ある程度の額まで上がると給料が頭打ちになってしまい、「もっと稼ぎたい」と思っても稼げないという現実に直面する。
ホスト
約20〜150万円
他の業種と比べて歩合給に圧倒的な差が出るため、多ければ150万円(ホストワーク調べ)という月収を新人ホストでも得れる。また、大抵のホストクラブが採用している“保証制度”は、例え売り上げがゼロでも平均して20万円程度の額が必ず支給されるので、ローリスク・ハイリターンな職業。
解説
仕事を選ぶ上で最も重要視されるのは給料の額だろう。
今回の比較では、「新人の月給」にスポットを当てて調査した。
とびは、見習いの期間でも高収入を得やすい職業だという反面、危険度や専門性の高さがネックになる。
新人アパレル店員も、給与面の待遇は悪くない。しかし、働けど働けど給料が上がりにくく、打ち止めされてしまうため、勤続して初めて給与面の不遇を知ることになるだろう。
美容師とホストは給与形態が同じで、「固定給+指名料」というのが主流だが、美容師は多くて17万円、ホストは多くて150万円という圧倒的な差がある。これは、ホスト業界にはアシスタントのような下積み期間が存在せず、入店後すぐに自分のお客を捕まえるチャンスがあり、歩合給を得やすいというメリットが数字に表れた形だ。
将来性比較
美容師
成功はごく一部の「複数店舗経営者」
とび職
「不況」「身体が資本」のリスク
アパレル
「将来性の無さ」「低賃金」という現実
ホスト
得た大金が「自分の未来」をつくる
解説
最後に『将来性』について比較した。
美容師という職業は、どれだけ働き、店長になっても年収は200〜300万円止まりだ。ここからほとんど大きな伸びは無い。店長のさらに上、複数の店舗を経営する美容師オーナーになることで年収が1,000万円超になり、初めて成功したと言えるだろう。しかし美容師業界は年齢が上がるにつれ離職率が多いという現実が、成功を掴むのは“ごくごく一部の美容師のみ”ということを物語っている。
とび職は、より収入を得たいと思った時に、国家免許を取得して重要な仕事に関わるようになるか、建設会社からの独立を考える考える時期が来る。しかし、建設業界は不況の影響を受けているためとび職の将来性は不透明だ。それでも、“建物を作る”ということが永遠に無くなることはないので、需要は常にある職業と言えるだろう。但し、己の肉体を武器に、または危険性が非常に高い職業のため、独立しても身体を壊せば収入はゼロになるという特大のリスクがある。
アパレル店員の将来は厳しい。企業によるが、マーケティングや企画、総務などの仕事に携わるなど、頑張り次第で本社への栄転が望める。だが、アパレル店員の大半は数年以内に退職し、全く違う業種へ進む。これにはアパレル店員の将来性の無さ、低賃金といった部分が深く影響している。「独立して自分のお店を持つ」という夢も、人脈があり、出資者がいなければまず叶うことはない。
ホストの業界では、勤続後数年で「独立して自分のお店を持つ」という夢を持つ者が出てくるが、独立支援をしているお店が多いので比較的自分のお店が出しやすいという特徴がある。また、気が付くと若くして大金を得ている可能性がザラにあるというのもこの業界の特徴。“ホストに憧れてなった”という者が少なく、それぞれがホスト以外に何らかの夢を持ち、その夢の為にお金を稼ぐ、というケースが非常に多い。未来を、将来を考え、自分の夢の実現のための最初のステップだと捉えて、ホストになるのもいいだろう。
※この内容は、当サイト編集スタッフが独自の経験と知識を元に編集したものであり、全てにおいて合致するとは限りませんのでご注意下さい。