東京・表参道に、アートスペース「AM」がオープン。オープニング企画として、2014年10月16日から、写真家 荒木経惟による“インスタントフィルム”写真展『結界』が開催される。
「結界」とは、仏教用語で、「俗界をわかち、その内側に聖域を結ぶこと」。この写真展では、アラーキーのインスタントフィルム作品をカッターの刃で二つに切り裂き、再び一枚に張り合わせています。段ボール箱いっぱいに詰め込まれた総点数約500点から選びだされたコンビネーションの作品は、清と濁、幸と不幸、楽園と地獄など、相反する、だれの人生にもかならずつきまとうものの象徴としてみることもできます。アラーキーが自身の手で接ぎあわせたこうした両極は、ふたたびしっかりと結ばれることで、さらに複雑なカオスをつくりだし、果てしのない新たな物語をつむぎだします。
引用元:Pen Online
日本のみならず海外にもファンが多い“アラーキー”こと荒木経惟。
自分自身を「天才写真家」と言ってしまうそのメンタルにも感服するが、これまでに発表してきた数々の作品を目の当たりにすると、誰しもが“天才発言”に納得してしまうだろう。ハッキリ言ってスゴイ、お手上げ。
アラーキーの作品は、時に楽しくもあり、時に切ない。真剣な時もあれば、バカバカしい時もある。しかし、どの作品にも共通して言えるのが、信じられない程の繊細さと、被写体の生々しさが合わさった写真群だという事。
アラーキーが天才だと言われる所以は、“コミュニケーション能力の高さ”にあると筆者は考える。
例えば人物撮影時に、アラーキーは自身の独特なキャラクター性を前面に出し、被写体と直接コミュニケーションを取ることで、被写体の内面にある生々しさを剥き出しにし、その剥き出した一瞬をフィルムに収める。そうして撮ったそのフィルム(像)を、アラーキーが魅せる繊細な世界観に落とす(写真にする)ことで、常人ではたどり着けない位置へと、高貴な芸術作品へと、写真を変えてしまう。
筆者は、アラーキーが大好きだ。写真展も数多く足を運んだし、写真集も何冊も所有している。正直、あのコミュ力の高さは羨ましい。
アラーキーの魅せる、繊細で生々しい作品の数々が拝める今回の写真展も、非常に楽しみだ。